金曜の夕方。ENTP のあなたは、今夜の予定をけっこう楽しみにしていた。 予定は、気の合う友人たちとの集まりだ。ただ ENTP にとって、ここは単なる飲み会じゃない。頭の回る連中が集まって、ああでもないこうでもないと言い合える、最高の遊び場だ。ENTP がいちばん好きなのは、おいしいごはんでも、近況報告でもない。——だれかの「当たり前」に「いや、そこ、本当にそうですか?」と横から火をつけて、議論がぼうっと燃え上がる、あの瞬間だ。 だから ENTP は、出かける前から、ちゃんと仕込みをしていた。今夜ぶつけるつもりの、とっておきの議題。「恋愛も、つきつめれば需要と供給で説明できるんじゃないか」。ご丁寧に、スマホのメモには、簡単な図まで描いてある。——誰も頼んでいないのに。 服はてきとうに選んだ。お店の場所もうろ覚えだ。でも、この「議題」だけは、頭の中でぴかぴかに磨いてある。本人にとっては、それがいちばん大事な準備なのだ。 さあ、今夜はどんな言い合いになるか。ENTP がうきうきと玄関に向かった、ちょうどそのときだった。




