金曜の夕方。INTP のあなたは、今夜の予定を正直そこまで楽しみにしていなかった。 予定は、大学時代の友人たちの集まりだ。みんないい連中だし、嫌いなわけじゃない。ただ INTP にとって、大人数のおしゃべりはちょっとした仕事みたいなものだ。今どんな話が流行っているか、誰の近況にどう相づちを打つか。気をつかうことが多くて、終わったあとはなぜかぐったり疲れている。 それでも「半年に一回くらいは、顔を出しておくか」と、一応カレンダーには入れてあった。義理というほどでもないけれど、まあ、そういうものだ。 ところがおかしなことに、準備のほうには妙に身が入る。INTP が出かける前にいちばん真剣に悩んだのは、着ていく服でも、お店の場所でもない。——移動中に読む本を、どれにするか、だ。 本棚の前に三十分しゃがみこみ、結局むずかしめの新書を一冊えらんだ。早い話、今夜の飲み会そのものより、電車の二十分のほうを楽しみにしている。本人はそのことにまったく気づいていない。 さて、そろそろ行くか。INTP が腰を上げかけた、ちょうどそのときだった。




