22 歳の春。同期 800 人が並ぶ入社式。 壇上の役員が話している間に、ENFP のあなたは、隣の席の同期ともう小声で意気投合していた。「ねえ、終わったら屋上、行ってみない?」初対面なのに、五分後には十年来の友だちみたいな顔で笑っている。 配属は営業部。人と会って、新しい話で盛り上がる——天職だ、と思った。 実際、ENFP は最初のつかみの天才だった。システムを売りに行ったはずの商談で、いつのまにか相手の事業の夢を聞いて、「それ、社内勉強会にしましょうよ! あ、地方の〇〇さんとも絶対合います、今度つなぎますね!」と話をどんどん広げていく。お客さんはつい心を開く。上司だけが頭を抱えた。「……今日売るのは、システムな?」 ただ、ENFP には厄介な癖がある。話を広げるのは天才的でも、それを最後まで形にするのがとにかく苦手なのだ。 会議でアイデアを二十個出しても、やりきれるのはせいぜい最初の三個。思いついた企画のフォルダ名だけはやたら楽しそうなのに、中身は空っぽ。「これ、絶対やります!」と宣言した企画が机の中に二桁、ねむっている。 数字の管理、こまめなフォローの電話、同じ書類の作り直し。そういう繰り返しになったとたん、ENFP の体からすうっと力が抜けていった。 25 歳。同期がコツコツ数字を積み上げていく横で、ENFP はなんだか息苦しくなっていた。 「このままここにいたら、自分が小さくまとまっちゃう気がする」。 新しい刺激と価値観の合う仲間を求めて、何度も異動願いを出した。




