22 歳の春。同期 800 人が並ぶ入社式。 壇上の役員の話が 15 分を超えたあたりで、ENTJ のあなたはもう別のことを考えていた。 「この話、たぶん、3 行で済むよな」。 配属は経営企画部。会社全体の数字と戦略がいちばん近くで見える。正直、当たりの部署だった。 ENTJ はすぐに目立った。 誰も口火を切らない会議で最初に結論を置く。止まったままの案件に期限と担当を切って、前に進める。 気づけば年上の先輩のほうが ENTJ に「これ、どうしたらいい?」と聞きにくるようになっていた。 ただ、どうしても我慢できないものがひとつあった。 Slack で 3 分で決まった話が最後はなぜか紙に印刷され、課長、次長、部長、役員とハンコを四つ集めて回る。 ENTJ は本気で思った。「この四つ、全員で同時に押せば、3 秒で終わるのに」。 25 歳。会社から「シンガポール、三年どう?」と海外赴任の打診が来た。 出世コースのわかりやすい一歩。同期ならたぶん飛びつく。 でも、ENTJ の腹の底から出てきたのは別の声だった。 ——他人が敷いたレールの上をいちばん速く走っても、それは"他人のレース"だ。 自分が選んだ人間と、自分が立てた旗の下で、勝ちたい。 打診を断った。 先輩は「もったいない」と言った。ENTJ はちっとももったいないとは思わなかった。




