22 歳の春。同期 800 人が並ぶ入社式。 壇上の役員の話が長引くなか、ISFP のあなたは、配られた式次第の紙を手に取り、ロゴの色と余白を、じっと見ていた。「惜しい。あと少し右に寄せれば、きれいなのに」。 配属は、システム開発部。社内の業務システムの画面を作る部署だ。本当はもっと「ものを作る」部署がよかったが、希望は通らなかった。 ISFP は、頭より先に手が動く人だった。画面が開いた瞬間、ボタンの角と文字のすき間に目が引っかかり、気づくと、もう直している。直したあとの方が、明らかにいい。 だが、先輩の答えはいつも同じだった。「そこ、どうでもいいから。仕様書どおりに動けばいい。見た目はあとで」。 どうでもいい。その一言で、角を元に戻した。なのにその夜、誰もいないオフィスで、もう一度だけ、自分のいいと思う方に直していた。 会議では、ほとんど発言しない。でも帰り道、デザインの話になると、別人みたいに早口で、楽しそうに語りだす。「君、そんなにしゃべる人だったの」と笑われた。 締め切りの前は、いつもまわりをひやひやさせた。ボタンの色を青にするか、灰色を少し混ぜるか。それだけで三日、固まる。「どっちでも変わらないでしょ」と言われても、ISFP には変わるのだ。世界でいちばん、変わるのだ。 25 歳。「サブリーダーをやってみないか」と打診が来たが、断った。人を動かすより、自分の手でいいものを作っていたい。同じころ異動希望を出し、自社サービスを作るプロダクト部に移った。




