22 歳の春。同期 800 人が並ぶ入社式。 壇上の役員の話が長引くなか、ISTP のあなたは、配られたノートパソコンを膝の上でこっそり開いて、設定をいじっていた。話より、手を動かす方がいい。 配属は、システムの足回りを支えるインフラチーム。サーバーやネットワークが止まらないように見張って、止まったら直す部署だ。 ISTP は、すぐに頭角を現した。 分厚い運用マニュアルは、ほとんど読まなかった。代わりに、実機を触りながら、仕組みそのものを手で覚えていった。「読むより、一回バラした方が早い」。 夜中にシステムが止まっても、慌てない。原因のあたりをつけて、無言で直す。復旧の報告メールより先に、もう直っていることもあった。 ISTP には、ひとつだけ苦手なものがあった。 技術じゃない。人の気持ちの話だ。 飲み会で、隣の同期が恋愛の相談を始めると、ISTP は「ちょっとトイレ」と言って席を立った。戻ってきたのは、二時間後。なぜかその店の不調だった Wi-Fi だけが直っていた。本人いわく「直し方のわからない話は、聞いててもしんどいだけ」。 会議も、苦手だった。一時間しゃべって何も直らない時間が、ISTP には拷問に近かった。ある日の議題は「障害対応フローの見直し」。その机の下で、ISTP は本物の障害を一件、黙って閉じていた。 25 歳。「リーダー、やってみないか」と打診が来た。チームをまとめて、人を動かす役だ。 ISTP は、即答で断った。 「俺は、手を動かす方がいい」。 肩書きより、自分の腕がそのまま仕事になる手応えの方が、ISTP には本物だった。




