20XX 年 X 月 X 日、火曜日のお昼ちょうど。 ESTP のあなたのスマホに、速報が飛び込んできた。 「東京、ゾンビ発生」。 ふつうの人は、たぶん、この一行を二度読む。 本当か、と思って、もう一度たしかめる。 ESTP は、二度読まなかった。 0.5 秒で読んで、こう言った。 「マジで? 嘘だろ。いや、マジか。やべぇ、面白すぎる」。 そして、笑った。 怖くなかったわけじゃない。 ただ、ESTP の中では、怖さより先に、体のほうが動きはじめていた。 気づいたら、足はもう玄関に向いていた。 押し入れの奥から、バットを引っ張り出す。 ドアを開ける。 これは夢でもゲームでもない、と頭のどこかではわかっていて、それでも、足は止まらなかった。 外に出た ESTP の目には、街が、もうただの街に見えていなかった。 どの道が詰まっていて、どこが空いているか。 どの角を曲がれば、人の流れを避けられるか。 それが、考えるより先に、頭に入ってくる。 ドッジボールで相手の肩が動いた瞬間、もうボールを取りに前へ出ているみたいに。 ESTP にとって、緊急事態というのは、頭で考えるものじゃなかった。 体で、先に、読むものだった。




