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ESTP(起業家) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

ESTP

起業家

いちばん最初に、いちばん派手に、いなくなった人の話

Prologue

「『これ、いけるな』——あなたの中にも、考えるより先に体が動いた瞬間、ありますか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、突っ込む? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、ESTP。 東京でいちばん早く体が動いた人は、その足でどこへ向かったのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日、火曜日のお昼ちょうど。 ESTP のあなたのスマホに、速報が飛び込んできた。 「東京、ゾンビ発生」。 ふつうの人は、たぶん、この一行を二度読む。 本当か、と思って、もう一度たしかめる。 ESTP は、二度読まなかった。 0.5 秒で読んで、こう言った。 「マジで? 嘘だろ。いや、マジか。やべぇ、面白すぎる」。 そして、笑った。 怖くなかったわけじゃない。 ただ、ESTP の中では、怖さより先に、体のほうが動きはじめていた。 気づいたら、足はもう玄関に向いていた。 押し入れの奥から、バットを引っ張り出す。 ドアを開ける。 これは夢でもゲームでもない、と頭のどこかではわかっていて、それでも、足は止まらなかった。 外に出た ESTP の目には、街が、もうただの街に見えていなかった。 どの道が詰まっていて、どこが空いているか。 どの角を曲がれば、人の流れを避けられるか。 それが、考えるより先に、頭に入ってくる。 ドッジボールで相手の肩が動いた瞬間、もうボールを取りに前へ出ているみたいに。 ESTP にとって、緊急事態というのは、頭で考えるものじゃなかった。 体で、先に、読むものだった。

ESTP のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、ESTP って『土壇場でしか本気を出せない』人種でさ、その仕組みが、見てて面白いんだよ。 ふだんの ESTP は、正直、エンジンを切ってるように見える。 退屈な会議。代わり映えのない毎日。そういうのが、いちばん苦手。 テスト前日にならないと勉強しないタイプ、いるでしょ。 あれの、もっと極端なやつだと思ってほしい。 でも、「やばいやつ」が来た瞬間、スイッチが入る。 散っていた注意が、一気に、音と距離と隙間だけに絞られる。 アクション映画で、主人公が銃弾を避けるとき、世界がスローモーションに見えるシーン、あるでしょ。 ESTP の頭の中は、危機が来た瞬間、ほんとうに、ああなるんだ。 その日の ESTP は、避難する人の波の中で、誰よりも動いていた。 パニックで足が止まっている人に、「こっち!」と道を指す。 倒れた車と車のあいだに、人ひとり分の隙間を見つけて、先に通す。 子どもを抱えた母親の前に立って、進む向きを変えてやる。 半分閉まったシャッターの下の隙間を、逃げ道にして後ろの人をくぐらせる。 ゾンビのことも、ESTP は、ちゃんと見ていた。 数秒、動きを見ただけで、だいたいわかった。 音には反応する。でも、視界はせまい。 正面より、横が弱い。左から回れば、抜けられる。 そういうことを、ESTP は、誰かに教わったわけじゃない。 その場で見て、その場で計算して、その場で動く。 「やりながら考える」。それが、ESTP の、いちばん得意なことだった。 だから、人が集まってきた。 「あの人についていけば、助かるかもしれない」。 ESTP は、それを重いとは思わなかった。 むしろ、いちばん前が自分の場所だった。 前に出たほうが、話が早いから。 ここ、勘違いされやすいんだけど。 ESTP は、軽い人、ふざけてる人、って思われがちでしょ。 でも本当は、いざというとき、いちばん危ない場所に、自分から立つ人なんだよ。 仲間だと思った相手のことは、体を張って守る。 それが、ESTP の、いちばんかっこいいところだった。

ESTP のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

ただ、ここから、ESTP の武器が、少しずつ、裏目に出ていく。 ついてくる人たちは、ESTP より、ずっと遅かった。 慎重に、足元をたしかめながら進む。 それは、当たり前のことなんだけど、ESTP には、その遅さが、もったいなく見えてしまった。 ESTP は、先のことをまったく考えていないわけじゃない。 ただ、遠い危険より、目の前の抜け道のほうが先に見える。 一時間後、一日後、自分がどうなっているか。 そういう「まだ来ていない時間」のことは、頭の後ろのほうに、押しやってしまう。 ESTP に見えているのは、いつだって、「今、ここ」だけ。 そして、「今、ここ」の ESTP は、こう思っていた。 ——いける。 道の先に、ゾンビの群れがいた。 五体か、六体。ESTP は、数秒、見た。 動きは遅い。間隔も空いている。一体ずつなら、さばける。 ESTP は、後ろを振り返って、言った。 「ここで待ってて。俺が散らしてくる」。 誰かが、「やめなよ」と言った。 ESTP は、笑った。 「余裕っしょ」。 バットを持って、一人で、前に出た。 最初の一体は、読みどおりだった。 動きが遅い。横から踏み込めば、当たる。 バットは、狙った角度で入った。 「行ける、こいつ動き遅いって。一発で、こうやって——」。 言い終わる前に、横からもう一体来ていた。 ESTP の、死角だった。 ふだんの ESTP なら、たぶん、気づいていた。 でも、「いける」という高揚が、ほんの一瞬だけ、その視野を、せまくしていた。 「あ」。 噛まれた。 それでも ESTP は、最後まで、笑っていた。 噛まれたあとに、本人が、こう言ったんだ。 「いや、回避できたって、これ。ちょっと油断した、ガチで」。 その「ちょっと」の隙に、後ろの人たちは、逃げた。 ESTP が散らした、一体ぶんの隙間を通って。

ESTP のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

その数時間後。 ESTP も、笑顔のまま、街をフラつく一体になった。 SNS には、その最後の動画が、残っている。 「東京で一番最初にゾンビと戦って死んだ男」。 そう呼ばれて、半年後には、ちょっとしたミームになっていた。 コメント欄は、笑っている人で、いっぱいだった。 でも、その動画には映っていないところに、別の話も残っていた。 あの朝、「こっち!」と道を指されて、助かった人がいる。 車と車のあいだの隙間を、先に通してもらった人がいる。 子どもを抱えたまま、進む向きを変えてもらった母親がいる。 ESTP が一体散らした、その隙に逃げて、生きのびた人たちがいる。 その人たちは、たぶん、あの動画では、笑わなかった。 ESTP は、明日を捨てたかったわけじゃない。 ただ、明日より先に、今を取りに行く人だった。 一時間後の自分がどうなっているかより、目の前の隙間をどう開けるか。 最後まで、そっちに体が向いていた。 でも、その「今しか見ない」が、何人かの「明日」を、つくっていた。 いちばん早く動いて、いちばん早く、いなくなった。 でも、その何秒かのあいだに、何人かが、生きのびた。

ESTP のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

ESTP の選んだ朝、いかがでしたか? 「これ、絶対自分やる」「いや、私は絶対やらない」——どっちの答えでも、それは ESTP が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に「考えるより先に、体が動く」のをやめられない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かの迷わない背中が浮かんでる。 「無理だって」って言われても、考えるより先に走り出す人、あなたの周りに、いませんか。

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