20XX 年 X 月 X 日。 ISFP のあなたは、その日、いつものように散歩をしていた。 最初に気づいたのは、スマホの通知じゃなかった。 すれちがう人の、顔つきだった。 表情が、固まっていた。 誰も、まだ大きな声は出していない。 でも、空気が、おかしかった。 言葉になる前のなにかが、肌に、ざらっと触れた。 ISFP は、スマホを開かなかった。 何が起きているのかを文字で確かめるより先に、もう、体のほうが答えを出していた。 ——ここに、いてはいけない。 ふつうの人なら、まず情報を集める。 ニュースを見て、それから、動くかどうかを決める。 ISFP は、逆だった。 先に、感じた。それから、動いた。 向かった先は、東京の外。 人の流れとは反対の、奥多摩のほうだった。 理由は、うまく説明できなかった。 ただ、そっちのほうが、正しい気がした。 こわくなかったわけじゃない。 背中のほうで、街が、ざわめきはじめていた。 それでも ISFP の足は、まよわず、緑の濃いほうへ向かっていた。 ISFP は、地図を見ても、行き先までは地図に預けない。 自分の中の、小さな羅針盤みたいなものを見て、決める人だった。 そしてその羅針盤は、たいてい、正しかった。




