診断結果に戻る
ISFP(冒険家) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

ISFP

冒険家

最後まで、自分の美しいと思うものを手ばなさなかった人の話

Prologue

「『理由はうまく言えないけど、こっちがいい気がする』——あなたの中にも、そんな感覚、ありますか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、離れる? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、ISFP。 誰もいない森で半年を過ごした人が、最後の夕方に何を見ていたのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日。 ISFP のあなたは、その日、いつものように散歩をしていた。 最初に気づいたのは、スマホの通知じゃなかった。 すれちがう人の、顔つきだった。 表情が、固まっていた。 誰も、まだ大きな声は出していない。 でも、空気が、おかしかった。 言葉になる前のなにかが、肌に、ざらっと触れた。 ISFP は、スマホを開かなかった。 何が起きているのかを文字で確かめるより先に、もう、体のほうが答えを出していた。 ——ここに、いてはいけない。 ふつうの人なら、まず情報を集める。 ニュースを見て、それから、動くかどうかを決める。 ISFP は、逆だった。 先に、感じた。それから、動いた。 向かった先は、東京の外。 人の流れとは反対の、奥多摩のほうだった。 理由は、うまく説明できなかった。 ただ、そっちのほうが、正しい気がした。 こわくなかったわけじゃない。 背中のほうで、街が、ざわめきはじめていた。 それでも ISFP の足は、まよわず、緑の濃いほうへ向かっていた。 ISFP は、地図を見ても、行き先までは地図に預けない。 自分の中の、小さな羅針盤みたいなものを見て、決める人だった。 そしてその羅針盤は、たいてい、正しかった。

ISFP のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、ISFP って、世界でいちばん『今この瞬間の美しさ』に正直な人たちでさ。 奥多摩の森が、ISFP の、半年ぶんの家になった。 火のおこし方。食べられる植物の見分け方。雨をしのげる場所の選び方。 誰かに教わったわけじゃない。 体が、ひとつずつ、覚えていった。 ISFP は、頭だけで世界を理解する人じゃなくて、手と、目と、肌で、世界を覚えていく人なんだ。 こわくなかった、といえば、嘘になる。 夜は長かったし、ずっと、ひとりだった。 でも、森は、きれいだった。 朝が来るたびに、川の音がした。 雨の日には、土と緑のにおいがした。 ISFP は、そのひとつひとつを、ちゃんと見て、ちゃんと感じていた。 それだけで、なんとか、生きていられた。 ISFP は、その森で、ちいさなものを、いくつも作った。 平らな石をならべた、細い道。 きれいな形の枝で組んだ、雨よけ。 役に立つから、じゃない。 そうすると、その場所が、すこしだけ、自分の場所になるからだった。 半年のうちに、一度だけ、人に会った。 武装した生存者の一団だった。 彼らは、ISFP を見て、こう言った。 「こんなところに一人なんて、正気じゃない。避難所に来い。一緒のほうが、生きのびられる」。 ふつうなら、ついていく。 そのほうが、たぶん、安全だった。 でも、ISFP は、動かなかった。 にこやかに、おだやかに。それでも、一歩も。 ここ、よく勘違いされるんだけど。 ISFP は、気が弱くて、流されやすい人、って思われがちでしょ。 ぜんぜん、ちがう。 ISFP の中には、絶対に譲らない一本の線がある。 それは、岩よりも、かたい。 ISFP には、わかっていた。 あの避難所に行けば、たしかに、長く生きられるかもしれない。 でも、そこには、規則と、順番と、点呼があって—— 朝の川の音に、ふと手を止めることは、もう、許されない。 ISFP にとって、それは、生きのびていても、生きてはいない、ということだった。 「ありがとう。でも、私は、ここにいる」。 ISFP は、そう言って、笑った。 一団は、しばらく ISFP を見て、それから、去っていった。

ISFP のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

半年が過ぎた、ある夕方のことだった。 その日の空は、いつもより、ずっと赤かった。 木々のあいだから、その色が、こぼれてきていた。 夕日が、森ぜんぶを、燃えるみたいなオレンジに染めていた。 ISFP は、手を止めた。 やりかけの作業も、夜の支度も、ぜんぶ、そのままにして。 ただ、その空の色を、見ていた。 風が、木のてっぺんを、ゆっくり鳴らしていた。 赤は、すこしずつ、濃くなっていった。 こんな時代になっても、夕日は、こんなにきれいなんだ。 ISFP は、たぶん、そう思っていた。 半年のあいだに、たくさんのものを失った。それでも、空だけは、変わらずに赤かった。 ——後ろに、いた。 物音は、聞こえていたかもしれない。 枝を踏む、かさ、という音。低い、うめき声。 ふだんの ISFP なら、たぶん、気づいていた。 ISFP は、危険には、誰よりも早く体が反応する人だったから。 でも、その瞬間だけは。 その夕方の、その赤さだけは。 ISFP の世界の、ぜんぶだった。 噛まれた。 たぶん、ただの油断じゃなかった。 ISFP は、最後まで、ISFP のままだった、というだけだ。 あの夕日から目をそらして、息だけをつないで生きのびることは、 ISFP にとっては、もう、自分が自分でなくなることと、同じだった。 ISFP は、振り返らなかった。 最後まで、空のほうを、見ていた。 その顔は、こわがってもいなかったし、おどろいてもいなかった。 ただ、きれいなものを見ている人の、顔だった。

ISFP のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

最後まで、空は、赤かった。 ISFP が、そのとき見ていた景色は、たぶん、ほんとうに、きれいだったんだと思う。 半年。 ISFP は、誰よりも長く、ひとりで、生きのびた。 でも、ISFP にとって、それは「生きのびた」半年じゃなかった。 朝の川の音を聞いて、雨のにおいをかいで、夕日に手を止めて—— ISFP は、その半年を、ちゃんと、生きていた。 たぶん、その半年は、短くても、薄くはなかった。 避難所に行った人たちを、責める話じゃない。 長く生きることを選ぶのも、まちがいなく、ひとつの正しさだ。 ただ、ISFP は、こう感じる人だった。 どれだけ長く息をしていても、美しいものに手を止められないなら、 それは、もう、自分の人生じゃない。 世界がどうなっても、誰に何を言われても、 ISFP は、自分の「きれいだ」を、最後まで、手ばなさなかった。 あの夕日だけは、誰にも、奪えなかった。

ISFP のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

ISFP の選んだ半年、いかがでしたか? 「これ、絶対自分やる」「いや、私は最後まで逃げる」——どっちの答えでも、それは ISFP が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に「自分の美しいと思うもの」を手ばなせない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かの、静かな横顔が浮かんでる。 「そんな場合じゃない」って言われても、きれいなものに、つい手を止めてしまう人、あなたの周りに、いませんか。

次に読む

ショート版で、さくっと振り返るテンポよく読める短編版(約 800 字)ほかのシナリオを探す