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ENFJ(主人公) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

ENFJ

主人公

全員のカウントを、最後まで欠かさなかった人の、最後の夜

Prologue

「誰か一人を見捨てたら、あなたは自分を許せる?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、誰かを助けに行く? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、ENFJ。 最後の夜、何を選ぶ人なのか——それを、これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日、朝 7 時。 ENFJ のあなたのスマホが、続けざまに震えた。 最初は、職場のグループ LINE。上司からだった。 「緊急事態、全員今すぐ確認して」 その文字を見た瞬間、ENFJ の頭の中には、もう人の顔が並んでた。 誰が不安がってるか。誰が一人でいるか。誰に最初に声をかけるべきか。 自分が怖いかどうかは、後回し。 しかも本人は、それを「後回しにした」と意識さえしてなかった。 職場の後輩に、すぐ LINE。 「大丈夫? 今どこ?」 一人暮らしの先輩にも、すぐ LINE。 実家に電話。母親はもう泣いてた。 「大丈夫、私が連絡するから、お父さんと一緒にいて」 近所のおばあちゃんにも、念のため声をかけた。 ピンポンを鳴らして、玄関先で「外、ちょっと危ないかもしれない」とだけ伝えた。 ぜんぶ、3 時間以内の話だった。 ここがな、ENFJ の頭の中って、平時から、たぶんこんな感じなんだよ。 職場の LINE、家族の LINE、友達のグループ、近所のチャット。ぜんぶ、どこかで開きっぱなし。 誰の返事が遅いか、誰の既読が止まったか、誰がいつもの調子じゃないか。 無意識にカウントしてる。 普段はそれが「気が利く人」で終わるんだけど、世界が壊れた日も、その癖は、そのまま加速しただけだった。

ENFJ のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

第 1 日の夜、22 時。 都市機能が、次々に止まり始めた。 電車は動かない。スーパーは閉まる。スマホの電波は、場所によって途切れ始める。 ENFJ は、連絡がついた人たちを順番に外へ逃がした。 「中央高校の体育館に避難所が立つって、自治体の放送で言ってた。あそこなら、たぶん、まだ間に合う」 誰よりも先に動いて、誰よりも先に方向を示した。 体育館へ向かう道で、ENFJ はさらに 3 人を連れてきた。 泣いてる小学生。動けなくなったおじいちゃん。スーツのまま座り込んでた、知らない女の人。 誰一人、強く説得したわけじゃない。 ただ、目を見て、名前を聞いて、「一緒に行こう」と言った。 それだけで、人は立ち上がった。 第 7 日。体育館には、200 人近くの生存者が集まってた。 ENFJ は、最初から、みんなの「目」を見てた。 誰の手が震えてるか。誰の呼吸が浅くなってるか。誰が壁の方を向いて、うずくまってるか。 言葉になる前に、その人が次に何を必要としてるか、わかってしまう。 ENFJ にとって、それは特技じゃない。呼吸みたいなものだった。 その人のそばに行って、肩に手を置く。 名前を呼んで、何かひとことだけ言う。 それだけで、顔が変わった。 泣いてた子が笑う。震えてた手が止まる。 体育館の中で、「ENFJ がそばにいる」というだけで、なんとか息をしていられる空気が、確かにあった。 でもね、ENFJ には、一つだけ見落としがあった。 誰かを救うたびに、自分の中の何かが、少しずつ削られてた。 本人だけが、それに気づかなかった。 夜中、誰もいない壁際で、一瞬だけ目を閉じる。 けど、すぐに次の人のところへ行く。 その繰り返しだった。 ここがさ、ENFJ の一番格好いいとこであり、一番やばいとこでもあってさ。 人の限界を察する能力が異常な人って、その目が、自分には向かないんだよ。 他人のキャパは秒で読めるのに、自分のキャパだけは、最後まで読めない。 だから、削られてるって気づくのは、いつも、もう削り終わった後なんだ。

ENFJ のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

第 30 日の夜。 体育館の外壁が、ついに破られた。 夕方から、外の悲鳴の間隔が短くなってた。床に伝わる振動も、少しずつ近づいてきてた。 ENFJ は、その音の変わり方で、もうわかってた。 今夜、ここはもたない。 ゾンビが流れ込んでくる中で、出口はひとつしかなかった。 体育館の北側、非常扉。 200 人近くが、そこ一箇所から出ないといけない。 時間が、足りなかった。 誰かが押されて転んだ。誰かが叫んだ。誰かが立ち止まった。 泣き声と足音が、体育館の天井にぶつかって、ぐちゃぐちゃに返ってきた。 ENFJ の頭の中で、答えは、たぶん、ずっと前から決まってた。 「先に行って。私が引きつける。」 そう言って、北側の非常扉のほうを指さした。 自分は、反対側に走った。 反対側のドアを開けて、わざと音を立てた。 ゾンビの群れが、そっちに向かう。 それが、ENFJ が自分の身体を逃げ道に流し込んで稼いだ、わずかな時間だった。 「やめろ」 誰かが叫んだ。声の主は、たぶん、ENFJ にいちばん支えられてきた誰かだった。 ENFJ は、振り返って、笑った。 「大丈夫、すぐ追いかけるから」 そう言って、片手を上げた。 いつも、職場で会議室を出るときに上げてた、あの手だった。 その瞬間、その場にいた人たちの反応は、たぶん、3 通りだった。 何も言えずに走った人。「やめろ」と叫び続けた人。そして、信じてしまった人。 信じてしまった人は、後から、自分を責めた。 「あのとき、本当に追いかけてくれるって、信じてしまった」 信じなかった人も、走った。走るしかなかった。 だって、ENFJ が作ってくれた時間を、無駄にはできなかったから。 ENFJ が反対側のドアを閉める音が、体育館の中に響いた。 それが、聞こえた最後の音だった。 扉の向こうで、何が起きたか、誰にも、わからない。 だから最後に残ったのは、振り返ったときの笑顔だけだった。

ENFJ のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

追いかけてこなかった。 体育館を出た 200 人近くは、その夜、別の避難所にたどり着いた。 誰一人、欠けなかった。 半年後、その夜の生存者の中で、ENFJ の名前を口にする人と、口にできない人が、混ざってた。 口にできない人は、たぶん、いまも、あの「やめろ」を叫び続けてる。 口にする人は、ENFJ がいなかったら自分はここにいないと、毎朝、ちょっとだけ思い出す。 ENFJ のカウントに、最後まで、誰も欠けなかった。 それは、たぶん、ENFJ がヒーローになりたかったからじゃなかった。 ただ、誰か一人を見捨てた自分を、自分が許せなかった。 それだけだった。 「あの『すぐ追いかける』が嘘じゃなかった」って、みんな、たぶん、知ってた。 あれは、嘘じゃなくて、最後まで誰のカウントも欠かさないための、ENFJ の最後の数え方だった。

ENFJ のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

ENFJ の選んだ夜、いかがでしたか? 「もし自分なら、戻ってきた?」「いや、戻れない」——どっちの答えが出ても、それは ENFJ が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に割り切れない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かの顔が浮かんでる。 体育館の出口で、最後にすれ違ったあの背中——あれを忘れない人が、まだ、どこかにいる。

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