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ENFP(広報運動家) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

ENFP

広報運動家

最後まで、ゾンビにも手を差し伸べた人の話

Prologue

「『あいつだって、元は人間じゃん』——あなたの中にも、そう言いたくなる瞬間、ありますか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、信じる? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、ENFP。 最後の朝、フェンス越しに伸ばしたその手が、何に届こうとしていたのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日、火曜日の午前 7 時。 ENFP のあなたは、友達からの LINE 連打で目を覚ました。 「ねえねえ大変だよ!!」 「見てる??」 「やばいやばいやばい」 画面の中で、友達の絵文字だけが、妙に元気だった。 ENFP は、寝ぼけたままニュースを開いた。 渋谷の映像。走っている人。倒れている人。 3 秒で、だいたいの地獄が頭に入ってきた。 ふつうの人は、たぶん、ここで怖がる。 でも、ENFP の中に最初に上がってきたのは、別の感情だった。 「え。これって、まじでゾンビ?」 怖いより先に、「え、何が起きてるの?」の火花も混じってしまった。 そういう人なんだ、ENFP は。 世界がひっくり返ると、どこが壊れて、どこがまだ生きてるのかに、先に目が行ってしまう。 家を出るのは早かった。 向かった先は、中央高校体育館。 自治体放送が、避難所に指定していた場所。 体育館に着いてからの ENFP は、誰よりも動いた。 水を配って、泣いている子の隣に座って、揉めはじめた人と人のあいだに、ぽんと入っていく。 誰かが転んだら、いちばん早く駆け寄って、転んだことまで、笑い話に変えた。 第 7 日には、生存者の誰かが、ぽつりとこう言っていた。 「あの人がいなかったら、私たち、もっと早く、崩れてたかもしれない」。 ENFP 本人は、そんなふうに思われてるって、たぶん気づいてもいなかった。

ENFP のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、ENFP を見ていて、世界でこの人だけかもしれないなって、思うところがあって。 ENFP って、優しい、んじゃないんだよね。 信じきれる、なんだよ。 体育館の隅に、フェンスがあった。 裏門のフェンス越しに、何体かのゾンビが、ふらふら集まってきていた。 みんなは怖くて、そっちを見ないようにしていた。 誰かが段ボールを立てて、視界から消そうとしていた。 ENFP だけが、毎日そっちを見にいった。 ノートを持って、というわけじゃない。 ENTP みたいに、仮説を立てたかったわけでもない。 ENFP は、ただ、目が離せなかった。 音に反応するときの動き。 ひとりでいるときと、群れているときのちがい。 たまに目が合うと、何秒か止まる、あの変な間。 「ねえ、あの人たちさ……怖がってるだけなんじゃない?」 ENFP は、何度か、誰かにそう言った。 たいていの人は、「は?」って顔で ENFP を見た。 ほら、SNS でめちゃくちゃ嫌われてる芸能人の、最初のインタビュー映像を見ちゃって、「あ、この人、悪い人じゃなさそう」って、ひとりで言い出すタイプ、いるでしょ。 あれをゾンビ映画の音量まで上げた感じなんだよ。 ENFP には、ゾンビと人間のあいだに線を引くことが、どうしてもしっくりこなかった。 だって、あの人たちは、ついこの前まで人間だったんだよ。 誰かの親で、子どもで、たぶん何かを信じていた。 それが、ある朝、急に「敵」というラベルに塗りかえられてしまう。 ENFP には、その塗りかえができなかった。 「そんなの、現実が見えてない」 「あいつらは、もう、別の生き物だよ」 そう言ってくる人もいた。 ENFP は、言い返さなかった。 笑って、肩をすくめて、また水を配りに行った。 ここを、勘違いしちゃいけない。 このとき、ENFP は丸めこまれていたわけじゃない。 ENFP は、お人好しで流される人、じゃなかった。 心の真ん中に、「ここだけは誰にも譲らない」っていう芯がある人だった。 だから、何を言われても、ENFP の中の「信じたい」はぶれなかった。 言い返さないことと、信じるのをやめることは、ぜんぜん、ちがう。

ENFP のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

第 30 日の朝。 体育館の人員は、最初の半分くらいに減っていた。 出ていった人。戻ってこなかった人。 名前を呼んでも返事がない毛布が、いくつもあった。 そんな朝だった。 裏門のフェンスの向こうに、その日、一体だけ、群れから離れて立っているゾンビがいた。 ふらふらしているわけでもなかった。 ただ、立っていた。 顔は、こっちを向いていた。 向いていただけ、かもしれない。 でも、ENFP の目には、そう見えなかった。 ENFP は、何も持たずに、フェンスのほうへ歩きはじめた。 歩幅は、ふつうだった。 怖がって早足、でもなかった。 覚悟を決めた人の、まっすぐな歩き方、でもなかった。 ただ、友達に会いに行くときみたいな、ふだんの歩き方だった。 「やめろ!」 体育館の誰かが叫んだ。 ENFP は、一瞬だけ振り返った。 ほんの、まばたきくらいの時間。 それでも、手は止まらなかった。 フェンスの前まで来て、ENFP はしゃがんだ。 網目の隙間から、すうっと手を伸ばした。 そっちには、もう人間じゃないかもしれない誰かが立っていた。 ENFP は、その手に声を添えた。 「大丈夫だよ。怖くないよ」 ぜんぜん、芝居がかった声じゃなかった。 泣いている子の隣に座ったときと同じ、ふだんの声だった。 噛まれた瞬間のことは、その場にいた何人かが覚えていた。 ENFP の表情は、ほとんど変わらなかった、と言う人もいた。 小さく笑っていた、と言う人もいた。 痛みより先に、何かを確かめてしまった人の顔だった、と言う人もいた。 倒れる前に、ENFP は、もう一度だけ後ろを振り返った。 体育館のほうに向かって、口だけで、ちいさくこう言ったように見えた人がいた。 「ね。やっぱり、もとは、人間だったよ」。 そう聞こえたかどうかは、誰にも、わからない。

ENFP のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

その朝が明けても、体育館は、しばらく誰も口を開かなかった。 裏門のフェンスは、すぐに布で隠された。 誰も、こっちを見ないように、ということだった。 「あの人、本気で、わかり合えるとか思ってたのかな」 夜になって、ひとりがぽつりと言った。 それは、ENFP を責める言葉じゃなかった。 ただ、悔しさの置き場所がなかっただけだった。 別の誰かが、しばらく黙ってから、こう答えた。 「……たぶん、本気で、信じてた」。 その場にいた全員が、たぶん同じことを思っていた。 ENFP なら、何度やり直しても、きっと同じフェンスへ歩いていく。 その「信じたい」だけは、誰がなんと言っても譲らない人だった。 ENFP が、何を見て、何に手を伸ばしたのか。 本当のところは、ENFP 本人にしかわからない。 正しかったのかどうかも、わからない。 正しいから、信じたんじゃない。 信じたかったから、信じた。 体育館に残った人たちは、しばらくしてから、自分でも気づかないくらいの瞬間に、ENFP の手の差し方を思い出すようになった。 たぶん、それが、ENFP が残した、いちばん長く消えないものだった。

ENFP のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

ENFP の選んだ朝、いかがでしたか? 「もし自分なら、絶対やらない」「いや、私もやっちゃうかも」——どっちの答えでも、それは ENFP が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に「信じる」をやめられない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かのまっすぐな笑顔が浮かんでる。 「ばかじゃないの」って言われても、信じるのをやめなかった人、あなたの周りに、いませんか。

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