20XX 年 X 月 X 日、火曜日の昼ごろ。 ENTJ のあなたのスマホに、速報が飛び込んできた。 「東京、ゾンビ発生」。 ふつうの人なら、ここで、声が出なくなる。 ENTJ は、ちがった。 画面を見た瞬間、もう、避難計画を七手先まで組んでいた。 実を言うと、ENTJ は、その三日前から、何か来る、と思っていた。 海外の株価と為替が、おかしな動きをしていた。 理由までは、わからない。でも、データは「異常だ」とはっきり示していた。 ただ——来たものが、ゾンビだったのは、さすがに、予想の外だった。それだけ。 ENTJ は、立ち上がった。 そして、マンションの住人たちに向かって、こう言い切った。 「全員、A 棟の地下駐車場に、集合。二十分後に、バスで、西へ。逆らうやつは、置いていく」。 その声に、迷いはなかった。 ふだん、自分で決めるのが苦手な人でも、そう言われると、思わず足が動いた。 パニックで荒れた廊下が、ENTJ の一声で、ひとつの隊列に変わっていく。 これは、夢でも、ゲームでもない。 ENTJ にとっては——指揮の出番だった。




