20XX 年 X 月 X 日、火曜日の朝。 ESFJ のあなたは、廊下を裂くようなお隣さんの絶叫で目を覚ました。 スマホはまだ見ていなかった。 玄関を開けると、お隣さんが震えながら立っていた。 下の階から、悲鳴がいくつも続いていた。 ESFJ はとっさにその人を抱き寄せて、それから初めて、世界が変わったことを知った。 「大丈夫、一緒に行こう」 それは、この半年で ESFJ がいちばん多く口にする言葉になる。 本人はまだ、それに気づいていない。 そこから ESFJ がやったことは、もう、本能みたいなものだった。 頭の中に並んでいたのは、ニュースの映像でも、避難場所のマップでもなかった。 ご近所さん。母親。幼馴染。職場の後輩。 名前と顔と、好きな食べ物が、ばーっと並んだ。 母親に電話。出るまで何回もかける。 幼馴染に LINE。「無事?」だけ送って、既読がつくまで画面を見続けた。 廊下を走って、独り暮らしの上の階のおばあちゃんの部屋をノックした。 返事がなくて、ドアの隙間から声をかけた。 「いる? 一緒に行こう。私もいるから」 ぜんぶ、1 時間以内のことだった。 ESFJ にとって、ここから先の半年は、この朝の延長戦みたいなものだった。




