20XX 年 X 月 X 日、火曜日のお昼ちょうど。 ESFP のあなたは、大学の昼休みにスマホを開いていた。 タイムラインの中に、バズりはじめた配信がひとつあった。 「え、これ、新宿駅?」 画面の中で、人が走っている。誰かが叫んでいる。 コメント欄が、ありえない速さで流れていく。 ふつうの人は、たぶん、ここで「逃げなきゃ」と思う。 家族は大丈夫か、家は大丈夫か、と、頭が回りはじめる。 ESFP も、こわかった。 でも、こわさと一緒に、別の心配も浮かんでいた。 ——これ、今、ひとりで画面を見てる人、手、震えてるだろうな。 ESFP には、それが、どうしても放っておけなかった。 こわい時間は、誰かと一緒なら、半分になる。 ESFP は、それを知っている人だった。 「……よし。私も、配信する」。 そうつぶやいて、立ち上がった。 これは夢でもゲームでもない。 それでも ESFP は、スマホのカメラを、自分のほうへ向けた。 外に出ると、人の波と、サイレンと、遠くの悲鳴があった。 そのまんなかで、ESFP は、配信ボタンを押した。 「はい、みんな、来たよ。今から、いっしょね」。 その声は、いつもの昼休みと、ぜんぜん変わっていなかった。




