20XX 年 X 月 X 日。 INFP のあなたは、その日、何度も何度も、スマホの画面を読み返していた。 流れてきたのは、誰かのツイートだった。 「渋谷がやばい」「外に出ないで」。 短い文章だった。 でも、INFP は、それを 1 回読んで終わりにできなかった。 これは、現実の話なのか。 それとも、誰かの、たちの悪い冗談なのか。 何度読み返しても、その境目が、わからなかった。 INFP にとって、世界は、いつも、ただの情報じゃない。 ニュースの文字の向こうに、INFP は人の顔まで見てしまう。 「やばい」と打った人が、どんな気持ちでスマホを握っていたか。 そっちのほうが、先に、胸に入ってきてしまう。 やがて、流れてくるツイートは、悲鳴みたいな言葉に変わっていった。 冗談であってほしい、という願いは、音もなく消えていった。 INFP は、家を出た。 向かったのは、中央高校の体育館。 自治体の放送で、避難所に指定されていた場所だった。 強かったから、行ったんじゃない。 作戦があったわけでも、ない。 ただ、INFP には、ひとつだけ、はっきりした気持ちがあった。 「一人でいるより、誰かのそばにいたい」。 それだけだった。 体育館に着いたのは、夕方だった。 中には、もう、たくさんの人がいた。 泣いている人、黙っている人、誰かの名前を呼び続けている人。 INFP は、その全員の気配を肌で受けながら、すみのほうに、そっと腰を下ろした。




