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INFP(仲介者) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

INFP

仲介者

最後まで、武器を取らなかった人の話

Prologue

「『誰かを傷つけてまで、生きのびたくはない』——あなたの中にも、その一線、ありますか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、とどまる? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、INFP。 武器を取らないと決めた人が、最後の夜、誰の前に立ったのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日。 INFP のあなたは、その日、何度も何度も、スマホの画面を読み返していた。 流れてきたのは、誰かのツイートだった。 「渋谷がやばい」「外に出ないで」。 短い文章だった。 でも、INFP は、それを 1 回読んで終わりにできなかった。 これは、現実の話なのか。 それとも、誰かの、たちの悪い冗談なのか。 何度読み返しても、その境目が、わからなかった。 INFP にとって、世界は、いつも、ただの情報じゃない。 ニュースの文字の向こうに、INFP は人の顔まで見てしまう。 「やばい」と打った人が、どんな気持ちでスマホを握っていたか。 そっちのほうが、先に、胸に入ってきてしまう。 やがて、流れてくるツイートは、悲鳴みたいな言葉に変わっていった。 冗談であってほしい、という願いは、音もなく消えていった。 INFP は、家を出た。 向かったのは、中央高校の体育館。 自治体の放送で、避難所に指定されていた場所だった。 強かったから、行ったんじゃない。 作戦があったわけでも、ない。 ただ、INFP には、ひとつだけ、はっきりした気持ちがあった。 「一人でいるより、誰かのそばにいたい」。 それだけだった。 体育館に着いたのは、夕方だった。 中には、もう、たくさんの人がいた。 泣いている人、黙っている人、誰かの名前を呼び続けている人。 INFP は、その全員の気配を肌で受けながら、すみのほうに、そっと腰を下ろした。

INFP のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

夜になって、体育館では、武器の分配が始まった。 バット、鉄パイプ、先をとがらせた物干し竿。 順番に、手渡されていく。 INFP の番が来た。 INFP は、首を、静かに横に振った。 「いらない」。 小さいけど、はっきりした声だった。 周りの何人かが、何か言いかけた。 でも、INFP の答えは、もう、決まっていた。 で、ここがさ、INFP を見ていて、いちばん誤解されやすいところなんだけど。 INFP って、「傷つけられない」んじゃなくて、「傷つけたくない」なんだよね。 ゾンビは、怖い。 それは、INFP も、同じだった。 ただ、INFP には、どうしても消せない事実が、ひとつあった。 あのゾンビたちは、ついこの前まで、人間だった、ということ。 誰かの親で、誰かの子どもで、名前があった。 ほら、ゲームでも、敵キャラがやられると、ちょっとだけ「かわいそう」って思っちゃう人、いるでしょ。 あれの、極限値みたいな話なんだよ。 INFP には、命と命のあいだに、線を引いていいとは、思えなかった。 「そんなの、甘い」 「武器を持たなきゃ、死ぬよ」 そう言ってくる人も、いた。 INFP は、言い返さなかった。 怒りもしなかった。 ただ、もう一度だけ、首を横に振った。 ここを、勘違いしちゃいけない。 このとき、INFP を動かなくしていたのは、弱さじゃない。 INFP は、優しすぎて流される人、じゃなかった。 心の真ん中に、誰にも動かせない、硬い一本の線を持っている人だった。 だから、何を言われても、INFP は、ぶれなかった。 言い返さないことと、流されることは、ぜんぜん、違う。 逃げることも、できた。 戦うことも、できた。 誰かの食料を奪うことも、たぶん、できた。 でも、INFP は、しなかった。 できなかったんじゃない。 しないと、決めていた。

INFP のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

第 30 日の夜。 体育館の外の見回りで、何人かが、はぐれた。 そのなかに、ひとりの子どもがいた。 暗い廊下を走っているとき、その子は、転んだ。 立ち上がろうとして、もう一度、転んだ。 足音が、近づいてきていた。 人の足音じゃなかった。 INFP は、その場に、いた。 逃げようと思えば、逃げられる距離だった。 INFP の頭の中で、ほんの一瞬、いろんな声がした。 怖い、という声も、ちゃんと、あった。 でも、ずっと守ってきた線が、最後には INFP を前に出した。 子どもと、足音のあいだ。 そこに、INFP は、立った。 手には、何も、なかった。 最後まで、武器を、取らなかったから。 INFP には、ゾンビを止める方法が、ひとつもなかった。 それでも、INFP は、その場を、離れなかった。 INFP が、その子に言ったのは、たった一言だった。 「逃げて」。 子どもは、泣きながら、走り出した。 INFP は、振り返らなかった。 振り返れば、その子の足が止まるかもしれないから。 だから、ずっと、足音のするほうを見ていた。 あとで、その夜を生きのびた人が、こう話した。 最後の瞬間まで、INFP は、逃げる素振りを、見せなかった、と。 怖がっていなかったわけじゃない、と。 肩は、震えていた、と。 ただ、その震える肩は、一度も、子どもの逃げたほうへは、向かなかった、と。 INFP の体は、最後まで、ひとりの子どもと、足音のあいだに、あった。

INFP のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

朝が来た。 廊下に、INFP の姿は、なかった。 その夜を生きのびた人たちは、しばらく、誰も口を開かなかった。 やがて、ひとりが、ぽつりと言った。 「なんで、武器、持っておかなかったんだろう」 それは、INFP を責める言葉じゃなかった。 ただ、悔しさの行き場が、なかっただけだった。 でも、すぐに、別の誰かが、こう続けた。 「……でも、あの人、絶対、そうするよな」 その場にいた全員が、きっと、同じことを思っていた。 INFP なら、何度やり直しても、きっと、同じ場所に立つ。 その一線だけは、誰が何と言っても渡さない人だった。 INFP が守った子どもは、今も、どこかで、生きている。 あの夜から、ずいぶん時間がたった。 子どもは、少しずつ、大きくなっていく。 その子は、自分をかばってくれた人の名前を、まだ覚えている。 たぶん、この世界で、その子ひとりだけが、覚えている。 あの選択が、正しかったのかどうか。 それは、たぶん、INFP には、関係なかった。 正しいから、立ったんじゃない。 傷つけたくなかったから、立った。 最後まで、武器を、取らなかった。 たぶん、それが、INFP にとっての、誠実さだった。

INFP のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

INFP の選んだ夜、いかがでしたか? 「もし自分なら、武器を持たずにいられる?」「いや、私はきっと持つ」——どっちの答えでも、それは INFP が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に割り切れない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かのまっすぐな目が浮かんでる。 「きれいごとだよ」って言われても、曲げられなかった一線がある人、あなたの周りに、いませんか。

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