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INTJ(建築家) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

INTJ

建築家

完璧な計算に、たったひとつ、人間を書き足した人の話

Prologue

「『そうなる気がする、じゃない。そうなるって、もう計算できている』——あなたは、そっち側の人間ですか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、予測する? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、INTJ。 速報の 3 日前からもう動いていた人が、半年後、ノートに何を書き足したのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日。火曜日、お昼ごろ。 INTJ のあなたのスマホに、速報が飛び込んできた。 「東京、ゾンビ発生」。 ふつうの人なら、ここで、固まる。 INTJ は、ちがった。 画面を見て、小さくうなずいた。 「——やっぱり」。 その三日前。 INTJ は、ふたつの記事を読んでいた。 ひとつは、海外の小さな町で「正体不明の集団暴走」が起きた、という短い速報。 もうひとつは、宿主の神経をのっとる菌類について書かれた、研究論文の続報。 ふつうなら、別々に流れて終わるニュースだった。 でも、INTJ は、その二つの点を、線でつないだ。 出てきた答えは、ひとつだけだった。 「これは、来る」。 だから、INTJ が動きはじめたのは、速報の日じゃない。 その、三日前だった。 ビルの屋上を、一か所、選んだ。 水の引き方。燃料の置き場所。ゾンビが登ってこられない動線。 半年先まで、ぜんぶ、計算した。 速報が鳴ったとき、INTJ の屋上要塞は、もう、半分、できあがっていた。 これは、夢でも、ゲームでもない。 ただ、INTJ にとっては——予測どおりの、火曜日だった。

INTJ のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、INTJ って、点と点をつないで、未来から逆算で、結論を一発で出しちゃう人でさ。 ほかの人が、まだ「何が起きたの?」と言っている間に、INTJ は、もう「半年後」に立っている。 ほら、SF 映画で、よく、あるでしょ。 主人公だけが、世界の終わりを、先に知っていて。 誰にも信じてもらえないまま、ひとりで、こつこつ、備蓄を進めている、あのシーン。 あなたも、一度は、見たことが、ありませんか。 INTJ は、あれを、現実でやってしまう人なんだ。 屋上で、INTJ は、ひとりで半年分の生活を組み立てた。 水は、三日に一度。燃料は、十日に一度。 降りるルートも、降りる時間も、ぜんぶ、決まっていた。 ゾンビの群れが、いつ、どこへ流れるか。 それすら、INTJ は、だいたい、読めていた。 ここがね、よく似たタイプと、ちがうところなんだ。 INTP なら、「この菌は、どういう仕組みなんだ」と、その謎のほうを、ずっと考える。 ENTP なら、思いついた端から、外に出て、ためしてみる。 INTJ は、どっちも、しない。 INTJ がほしいのは、仕組みの解明でも、面白さでもない。 「で、いちばん生き残れる未来は、どれだ」。 その、たった一つの答えだけ。 それが出たら、もう、迷わない。 INTJ にとって、人と組むことは、計算を狂わせることだった。 人は、読めない。気が変わる。感情で動く。 だから INTJ は、誰も、屋上には、入れなかった。 それは、誰かを見下したからじゃ、なかった。 ただ、いちばん正しい答えが、「ひとり」だった。それだけのことだった。 半年のあいだ、INTJ の計算は、ほとんど、完璧だった。 水も、燃料も、ゾンビの動きも、ぜんぶ、予測の中に、おさまっていた。 ただね。 その完璧な計算には、たった一つだけ、本人も見落としていた誤差があったんだ。

INTJ のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

半年のあいだに、INTJ が屋上から降りたのは、たったの、三回。 水と燃料を、取りに行くためだけ。ルートは、ぜんぶ、計算ずみ。 問題は、その、三回目だった。 降りた先で、INTJ は、生存者の集団と、出くわした。 向こうが、言った。 「物資を、分けてくれないか」。 INTJ の頭の中では、一瞬で、答えが出た。 拒否。一択。 知らない集団に物資を渡すリスクは、計算するまでも、なかった。 でも、その日の INTJ は、いつもと、すこし、ちがった。 INTJ は、半年間、ひとことも、誰とも、話していなかった。 屋上は、完璧に整っていて、同時に、完璧に、静かだった。 その静けさが、内側にどれだけ積もっていたか。 INTJ 自身、気づいていなかった。 集団のひとりが、こう言った。 「西の倉庫を、見た」。 INTJ の頭の中の地図には、その西の倉庫だけ、空白があった。 ずっと、埋めたかった、空白だった。 拒否一択だったはずの計算が、その一言で、〇・五秒だけ、揺れた。 そして、INTJ の口から、予定になかった言葉が、出た。 「……まあ、一部なら」。 その、〇・五秒だった。 集団の中にいた、ひとりの男。 肩を深く噛まれていた、その男が、そこで豹変した。 牙が、INTJ の左肩に、届いた。 ——でも、皮膚までは、届かなかった。 三か月前。 INTJ は、上着の内側に、薄いハードシェルを、縫いつけていた。 「万にひとつ、噛まれたら」。 三か月前の計算が、この〇・五秒の隙を、ちょうど、埋めていた。 歯は、その固い板で、止まった。 INTJ は、無言で、その場を、離れた。 屋上に戻って、ロックを、かけた。 その日から、ロックを開けたことは、一度も、ない。

INTJ のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

屋上に戻った INTJ は、まず、左肩のハードシェルがどこまで破れたかを、確かめた。 それから、ひとつの結論に、たどり着きかけていた。 「人間はノイズだ、二度と入れない」。 その結論は、たしかに、いちばん、安全だった。 冷たくて、正しくて、隙が、なかった。 INTJ なら、いつもは、そこで、ノートに、そう書く。 でも、その夜、INTJ の手は、止まっていた。 INTJ は、あの〇・五秒を、頭の中で、何度も巻き戻していた。 あれは、ただの、計算ミスだったのか。 ちがった。 あの〇・五秒は、半年ぶんの静けさが、INTJ にもこたえていた——そういう、消せないデータだった。 そして、「西の倉庫」は、本当に、あった。 あの集団は、嘘を、ついていなかった。 INTJ は、その夜、ノートを、開いた。 でも、「人間を、計算から消す」とは、書かなかった。 代わりに、INTJ は、こう書いた。 「予測モデルに『人間の善意』というパラメータを追加した」。 ロックは、もう、開けない。それは、変わらない。 でも、INTJ のモデルの中では、人間は、もう、ただのノイズでは、なくなっていた。 いちばん冷たい計算機が、半年かけて、いちばん読めないものを、計算に入れた。

INTJ のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

INTJ の生き残り方、いかがでしたか? 「これ、絶対自分やる」「いや、私はそこまで読めない」——どっちの答えでも、それは INTJ が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に割り切れない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かの、誰にも見せないノートが、浮かんでる。 「考えすぎだよ」って言われても、つい三日先、半年先を計算してしまう人、あなたの周りに、いませんか。

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