20XX 年 X 月 X 日、火曜日の早朝。 INTP のあなたは、いつものように、スマホであるチャットを流し読みしていた。 感染症の専門家たちが集まる、ネットの片隅のチャット。 そこへ、速報が流れた。 みんなが「どこへ逃げよう」と考えはじめた朝。 INTP の頭に最初に浮かんだのは、それじゃなかった。 「なんで、こうなった?」 その「なんで」のほうが、先に来た。 ふつうの人なら、速報を見て、血の気が引く。 でも、INTP の口から出たのは、こうだった。 「やっぱり、感染率が、2 を超えたか」 これは、驚きじゃない。確認だった。 前の日に読んだ論文の下書きに、同じ数字が出ていた。 その予測と、目の前の速報が、ぴたりと重なった。 自治体の警報が鳴ったのは、その 30 分あと。 そのときには、INTP は、もう家を出ていた。 向かった先は、避難所じゃない。 街はずれにある、とっくに閉まった廃校。 理由は、はっきりしていた。 人が来ない。広い。そして——黒板が、たくさんある。 INTP は、理科準備室に、机をひとつ引きずってきた。 ノート、ペン、拾ったチョークを並べた。 窓の外では、遠くで、何かが崩れる音がしていた。 それでも、INTP の手は、もう黒板に伸びていた。 頭の中にあったのは、恐怖じゃない。 たったひとつの問いだった。 「この広がり方には、きっと、法則がある」




