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INTP(論理学者) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

INTP

論理学者

世界が終わっても、ひとりで答え合わせをしていた人の話

Prologue

「『なんで、こうなった?』——逃げる前に、その"なんで"のほうが気になっちゃう。あなたは、そっち側の人間ですか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、解く? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、INTP。 ひとりで生き残って、黒板に何を書き残した人なのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日、火曜日の早朝。 INTP のあなたは、いつものように、スマホであるチャットを流し読みしていた。 感染症の専門家たちが集まる、ネットの片隅のチャット。 そこへ、速報が流れた。 みんなが「どこへ逃げよう」と考えはじめた朝。 INTP の頭に最初に浮かんだのは、それじゃなかった。 「なんで、こうなった?」 その「なんで」のほうが、先に来た。 ふつうの人なら、速報を見て、血の気が引く。 でも、INTP の口から出たのは、こうだった。 「やっぱり、感染率が、2 を超えたか」 これは、驚きじゃない。確認だった。 前の日に読んだ論文の下書きに、同じ数字が出ていた。 その予測と、目の前の速報が、ぴたりと重なった。 自治体の警報が鳴ったのは、その 30 分あと。 そのときには、INTP は、もう家を出ていた。 向かった先は、避難所じゃない。 街はずれにある、とっくに閉まった廃校。 理由は、はっきりしていた。 人が来ない。広い。そして——黒板が、たくさんある。 INTP は、理科準備室に、机をひとつ引きずってきた。 ノート、ペン、拾ったチョークを並べた。 窓の外では、遠くで、何かが崩れる音がしていた。 それでも、INTP の手は、もう黒板に伸びていた。 頭の中にあったのは、恐怖じゃない。 たったひとつの問いだった。 「この広がり方には、きっと、法則がある」

INTP のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、INTP の、ちょっと不思議なところでさ。 この人、ゾンビから逃げてるんじゃないんだ。 ゾンビっていう「謎」を、追いかけてるんだよね。 正直に言うと、わたしは最初、これを見て、少しぞっとした。 世界がこんなことになって、この人だけ、動機が、一個ズレてる。 ほら、卒論の前の理系の学生が、データを集めるために徹夜する、あれ。 誰に言われたわけでもなく、ただ「ちゃんと分かりたい」だけで、夜が明けるまで机に向かう、あれ。 あなたも、学生のころ、そういう夜、ありませんでしたか。 INTP は、あの状態のまま、ゾンビが溢れた東京を生きている。 廃校の黒板に、INTP は、毎日、書きつづけた。 感染が広がる曲線。食料が何日もつかの計算。ゾンビが通る道と、避ける道。 黒板が一枚、また一枚、数字と線で埋まっていった。 INTP のやり方には、ひとつ、はっきりした癖がある。 人から聞いた話を、そのまま信じない。 論文に「こうだ」と書いてあっても、INTP は、自分でもう一度、計算し直す。 他人の結論じゃなくて、いちばん下の土台から積み上げ直さないと、気が済まない。 ここがね、よく似たタイプと、はっきり違うところなんだ。 たとえば INTJ なら、こう言う。「3 日前から、こうなると分かってた」。先を読んで、もう動いている。 INTP は、ちがう。「論文の数字と、現実が、一致した。確認できた」。 未来を当てたいんじゃない。今、目の前で起きていることの「仕組み」を、矛盾なく解きたい。 それから、もうひとつ。 INTP は、ENTP みたいに、すぐ外へ飛び出して試したりはしない。 黒板の前に立って、頭の中で、完璧に組み上がるまで待つ。 組み上がってから、はじめて、動く。 ほんとうは、それで、よかったんだ。 廃校にこもって、黒板を埋めて、食料を計算どおりに使っていれば、INTP は、たぶん、安全だった。 でも——ここに、INTP の、いちばん危ない癖がある。 自分のモデルに「穴」を見つけると、INTP は、確かめに行かずにはいられないんだ。

INTP のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

第 18 日。 INTP は、黒板の前で、ひとつの「穴」に気づいた。 計算では、ゾンビは、廃校の北側の道を通らないはずだった。 なのに、その朝、その道を、一体のゾンビが歩いていた。 モデルと、現実が、ずれた。 ふつうの人なら、「運が悪かったな」で済ませる。 INTP は、済ませられない。 ずれには、理由がある。それが分からないと、黒板に書いた全部が、信じられなくなる。 だから、INTP は、外へ出た。 その一体を、自分の目で確かめるために、近づいた。 近づきすぎた。 ここからが、INTP の半年で、いちばん危なかった時間だ。 INTP は、何度も、死にかけた。 モデルの穴を確かめに行っては、ぎりぎりで、戻ってきた。 頭の中では、ゾンビの視線が通らない死角を、1 秒で計算する。 息を止める。足の裏で、地面の揺れを数える。 それでも、計算が体に追いつかない瞬間は、あった。 一度、物陰で、ゾンビと目が合った。 そのとき、INTP の頭の中の数式が、ぜんぶ、真っ白になった。 論理が、止まった。 残ったのは、ただの人間の、恐怖だけだった。 INTP は、そのとき、はじめて思った。「ここで、ひとりは、まずい」。 でも、INTP は、戻った。黒板のある部屋へ。 そして、まだ震えている手で、ノートにこう書いた。 「ゾンビは、音より、地面の揺れに反応する。精度 93%」。 こわかった。こわかったけれど、データは、取れた。 半年のあいだに、廃校には、何人か、人が流れ込んできた。 そのうちのひとりが、黒板を埋める INTP を見て、言った。 「あんた、こんなときに、何やってんの。早く逃げようよ」。 INTP は、顔を上げて、黒板を指さした。 この線は感染の曲線。この数字は揺れへの反応の精度。これが分かれば、ただ逃げるより、ずっと安全に動ける、と。 その人は、最後まで聞かずに、行ってしまった。 INTP は、黒板の前で、また、ひとりになった。 ほんとうは、INTP がずっと欲しかったのは、こういう相手だった。 自分の計算に「それ、おかしくない?」と突っ込んでくれる、誰か。 でも、廃校に、そんな人は、いなかった。 だから INTP は、黒板に向かって、ひとりで、答え合わせを続けた。

INTP のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

半年後。 廃校の理科準備室の黒板は、感染拡大シミュレーションで、すっかり埋まっていた。 割れた窓も、立ち入り禁止のテープも、そのまま。 でも、その黒板だけは、一枚の、完成した図になっていた。 INTP は、その図の隅に、チョークで、小さく書き足した。 「誤差率 4.2%。許容範囲内」。 INTP は、生き残った。 そして、ずっと追いかけてきた「謎」を、最後まで、解き切った。 ゾンビが、なぜ、どう広がるのか。 その仕組みを、INTP は、ひとりで、矛盾なく、組み上げた。 ただ——その黒板を見たのは、INTP のほかに、誰もいなかった。 答え合わせをしてくれる相手も、「すごいね」と言ってくれる人も、そこにはいなかった。 INTP は、正しい答えに、たどり着いた。 そして、その答えが正しいことを、たったひとりで、知っていた。 あの黒板を、INTP は、ほんとうは、誰かに見せたかったのか。 それとも、自分が分かれば、それでよかったのか。 それは、INTP 本人にしか、分からない。 INTP にとって、世界は、最後まで、解くべきひとつの謎だった。 その謎を、INTP は、解いた。 誰も見ていない部屋で、その答えは、ただ、正しかった。

INTP のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

INTP の生き残り方、いかがでしたか? 「こんなときでも、自分なら"仕組み"のほうが気になる」「いや、私はまず逃げる」——どっちの答えでも、それは INTP が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に割り切れない、ってだけ。 そこまで考えると、たぶん、誰も見ていない黒板が、ひとつ、浮かんでる。 「今、それ考えてる場合?」って言われても、"なんで"が気になって仕方ない人、あなたの周りに、いませんか。

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