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ISTJ(検査官) の立ち絵
Scenario / Zombie / Long

世界が終わった夜、あなたはこう動く

ISTJ

検査官

3 年前の自分に、生かされた人の話

Prologue

「『それ、もう 3 年前から準備してた』——そう言える人が、あなたの周りに、いませんか?」 もし明日、東京がゾンビで溢れたら——あなたなら、どうする? 逃げる? 戦う? それとも、備える? 人口 1400 万。MBTI 16 タイプ。生き残るのは、たぶん、ほんの一部。 今日の主役は、ISTJ。 誰にも頼らず生き延びた人が、半年後、何を書きはじめたのか——これから見ていく。

Phase 01

20XX 年 X 月 X 日、朝 7 時。 ISTJ のあなたのスマホが鳴った。 届いたのは、ニュースの速報じゃなかった。 3 年前に、自分で作った「非常事態フォルダ」の、通知だった。 ニュースより、少しだけ、早かった。 ふつうの人なら、ここで、画面を二度見する。 何が起きたのか、頭が、追いつかない。 ISTJ も、こわくなかったわけじゃない。 でも、ISTJ の手は、もう決めてあった手順通りに動きはじめていた。 スマホに入れてあるチェックリストを開く。 備蓄の確認。避難ルートの確認。連絡先の確認。 ひとつずつ、抜けがないか見て、チェックを入れていく。 まわりが「どうしよう」と言いはじめた朝。 ISTJ の口から出たのは、それじゃなかった。 「——うん、リストの通りだ」。 パニックになっている人たちの中で、ISTJ だけ、手が止まらなかった。 こわくても、動けた。 やることが、順番まで、決まっていたから。 そして、それを決めたのは、今日の ISTJ じゃない。 3 年前の、ISTJ だった。 家を出るとき、ISTJ は、ドアの鍵をいつも通り二回まわした。 こんな日でも、その手順だけは、変えなかった。

ISTJ のゾンビサバイバル — 物語の幕開けの場面
Phase 02

で、ここがね、ISTJ って、世界でいちばん「想定外」が少ない人でさ。 「備えあれば憂いなし」を、ことわざじゃなくて、毎日の生活でやってる人なんだよ。 3 年前。 ISTJ は、何かのニュースを見て、念のため、ひとつのフォルダを作った。 食料、水、医薬品のリスト。 避難できる場所を、三か所。 それぞれの、鍵のかけ方まで。 「さすがに、備えすぎかな」とは、一秒も思わなかった。 過去に起きたことは、また起きる。 ISTJ は、それを、知っていたから。 ほら、学校の避難訓練で、ひとりだけ、手順をちゃんと守ってた子、いたでしょ。 みんながふざけている横で、口を布でおさえて、本気で頭を低くしていた、あの子。 あなたのクラスにも、いませんでしたか。 ISTJ は、あの子が、そのまま大人になった人なんだ。 第 7 日。 ISTJ は、近くの体育館に、一度だけ、立ち寄った。 中に入って、三分だけ、様子を見た。 感情で動いて、まわりに当たる人。 順番も、ルールも、守らない人。 物資を、自分のリュックに、こっそり多めに詰める人。 ISTJ は、何も言わなかった。 三分で、必要なところだけ見て、静かに、外に出た。 「ここは、長くもたない」。 それは、気分で決めたことじゃない。 そこは、今までに見てきた「うまくいかなかった集まり」と、同じ崩れ方をしていた。 ここがね、よく似たタイプと、ちがうところなんだ。 ESTJ なら、たぶん、その体育館で、当番表を作りはじめる。 前に立って、「みんな、聞いて」と、声を上げる。 ISTJ は、しない。 前に立つことより、自分の持ち場を、確実に守ることを選ぶ。 だから ISTJ は、誰にも気づかれずに、体育館を出ていった。 向かった先は、3 年前のリストにあった、第 2 候補地。 第 1 候補には、もう、別のグループがいた。 でも、ISTJ は、慌てなかった。 それも、リストに「あり得ること」として、書いてあったから。 鍵のかけ方。水の確保。食料を何日分に分けるか。 ISTJ は、ぜんぶ、リストの通りに動いた。 誰かに、助けてもらう必要は、なかった。 3 年前の自分が、ぜんぶ、用意しておいてくれたから。

ISTJ のゾンビサバイバル — 物語が動き出す場面
Phase 03

半年が、過ぎた。 ISTJ は、まだ、生きていた。 その半年で、ISTJ は、一度も、パニックにならなかった。 そう。一度も。 ——その日まで。 その日、ISTJ は、いつも通り、リストを開いた。 今日やることを、確認するために。 そして、ページを、めくった。 次のページは、白紙だった。 ISTJ は、もう一度、めくった。 その次も、白紙。 その次も、白紙。 3 年前の ISTJ が、書いてくれていたのは、半年分だった。 きっちり、半年。 そこまでで、リストは、終わっていた。 ふつうの人なら、ここで、こう思う。 「半年も生きられたんだ。じゅうぶんだ」。 ISTJ は、そうは、思えなかった。 ISTJ の目の前に、生まれて初めて、「3 年前の自分が、何も決めていない場所」が広がった。 参照できる過去が、ない場所。 ISTJ が、いちばん見ないようにしてきたもの——「これから」が、そこにあった。 その夜から、ISTJ の頭の中で、悪い想定が、次々に並びはじめた。 水が尽きたら、どうする。 次の候補地も、ダメだったら。 その次が、ダメだったら。 冬が来たら。けがをしたら。薬が、切れたら。 ひとつ考えるたびに、その先に、もっと悪いことが見えた。 リストにないなら、もう、何も分からない。 分からないなら、手順も、判断も、ぜんぶ崩れる。 ISTJ の手が震えはじめた。 息が浅くなった。 半年、一度も乱れなかったその人が、その夜は、ひとことだけ、つぶやいた。 「……これは、想定外だ」。 ISTJ は、その夜、眠れなかった。 3 年前のリストを、最初のページから、何度も読み返した。 何度読んでも、答えは、書いていなかった。 当たり前だった。3 年前の自分は、ここまでしか、来ていなかったから。

ISTJ のゾンビサバイバル — クライマックスの場面
Phase 04

朝が、来た。 ISTJ は、眠れないまま、いつも通りの時間に、起きた。 そして、いつも通り、水の残りを確認した。 いつも通り、鍵を確認した。 手が、覚えている通りに、動いた。 そのいつも通りの手順を、ひとつふたつとこなしていく。 そうしているうちに、ISTJ の震えはいつのまにか止まっていた。 そして、ISTJ は、気づいた。 3 年前の自分が、今日の自分を、救ってくれた。 だったら、話は、かんたんだ。 今日の自分が、半年後の自分を、救えばいい。 ISTJ は、新しいノートを、開いた。 まっさらな、1 ページ目。 そこに、今日の日付を書いた。 それから、書きはじめた。 「水、残り何日分。次の候補地までの道。冬を越すために、いるもの——」。 未来は、まだ、白紙だった。 でも、もう、こわくなかった。 白紙のページなら、3 年前にも、あったのだ。 それを、一行ずつ、自分の手で、埋めてきた。 今日から、また、同じことを、すればいい。 ISTJ は、3 年前の自分に、生かされた人だった。 そして今、半年後の自分のために、ペンを握っている。 備えるというのは、たぶん、未来の自分との、いちばん静かな約束だった。

ISTJ のゾンビサバイバル — 結末の場面

Epilogue

ISTJ の生き残り方、いかがでしたか? 「これ、絶対自分やる」「いや、私はそこまで備えない」——どっちの答えでも、それは ISTJ が間違ってるんじゃなくて、人間って、それくらい簡単に割り切れない、ってだけ。 その答えを考えると、たぶん、誰かの、まだ何も書いていないノートが、浮かんでる。 「そこまで準備しなくても」って言われても、つい次の「もしも」を書いてしまう人、あなたの周りに、いませんか。

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