20XX 年 X 月 X 日、朝 7 時。 ISTJ のあなたのスマホが鳴った。 届いたのは、ニュースの速報じゃなかった。 3 年前に、自分で作った「非常事態フォルダ」の、通知だった。 ニュースより、少しだけ、早かった。 ふつうの人なら、ここで、画面を二度見する。 何が起きたのか、頭が、追いつかない。 ISTJ も、こわくなかったわけじゃない。 でも、ISTJ の手は、もう決めてあった手順通りに動きはじめていた。 スマホに入れてあるチェックリストを開く。 備蓄の確認。避難ルートの確認。連絡先の確認。 ひとつずつ、抜けがないか見て、チェックを入れていく。 まわりが「どうしよう」と言いはじめた朝。 ISTJ の口から出たのは、それじゃなかった。 「——うん、リストの通りだ」。 パニックになっている人たちの中で、ISTJ だけ、手が止まらなかった。 こわくても、動けた。 やることが、順番まで、決まっていたから。 そして、それを決めたのは、今日の ISTJ じゃない。 3 年前の、ISTJ だった。 家を出るとき、ISTJ は、ドアの鍵をいつも通り二回まわした。 こんな日でも、その手順だけは、変えなかった。




